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2023.11.29
コラム

お布施についての知識を身につけてスムーズな葬儀・法事に

葬儀や法事は、故人を偲ぶために遺族が集まり、悲しみを共有し、故人への敬意を表す大切な儀式です。

これらの儀式をスムーズに進めるためには、お布施に関する適切な知識と準備が必要不可欠です。

 

法事と法要

法事とは、故人のために行う追善供養のことで、主に年忌法要(命日や特定の年数が経過するごとに行う儀式)を指します。もともとは「仏教の修行」を意味していましたが、時間が経つにつれて、故人を供養する行事の意味で使われるようになりました。一般的には、三十三回忌や五十回忌をもって故人への最後の弔いと考えられています。

また法事は、故人を偲んで行う読経や焼香などの仏教行事(法要)と、それに続く会食などを含む一連の追悼行事を指します。しばしば、法事と法要は同じ意味で使われがちですが、正確には差があります。法要は仏教的な儀式、つまり読経や焼香などを中心に行われる部分をさし、その後の会食は含みません。一方、法事はこの法要と会食を合わせた全体の行事を指します。

 

お布施の意味と歴史

 

仏教において、お布施は単なる物質的な寄付以上の意味を持っています。この行為は、故人への感謝と尊敬の気持ちを表現すると同時に、生きとし生けるものへの慈悲の心を育む重要な実践とされています。お布施は、僧侶への財物の提供だけではなく、究極的には私たち自身の執着を手放し、無償の愛と慈悲を実践することに他なりません。

 

歴史を遡ると、お布施の原型は古代インドにまでさかのぼります。当時、信者たちは僧侶が日々の生活を送る上で必要な食物や衣服など、生活必需品を提供していました。これらの行為は、僧侶が世俗の生活から離れ、修行に専念できるよう支援するという宗教的な義務から生まれたものです。日本においても、この伝統は受け継がれ、多様な形で展開してきました。農家は収穫した作物を、職人は自らが作り出した品々を捧げることで、先祖供養や僧侶への感謝の気持ちを表してきたのです。

 

しかし、お布施の真髄は、物質的なものを超えたところにあります。仏教では、財施(ざいせ)のほかに、法施(ほうせ)と無畏施(むいせ)という形のお布施があります。法施は仏の教えを惜しみなく人々に伝えること、無畏施は苦しみや不安を抱える人々を助け、良い方向に導くことを意味します。これらはすべて、自己の内面を豊かにし、他者への深い慈悲と理解を促進するための実践と言えるでしょう。

 

現代においても、お布施は仏教文化の根底にある思想を反映した行為として、大きな価値を持ち続けています。物質的な寄付を通じて、僧侶や寺院の維持を支えるとともに、仏教の教えを広め、生命への敬意と感謝を示すことで、精神的な充足を追求することが可能です。お布施は、故人を偲び、後世に対する責任を果たすための、私たち自身の心の在り方を問い直す機会を提供してくれるのです。

お布施の用意

 

お布施を渡す前に、以下の点を準備しておくと良いでしょう。

 

相場の確認:事前に地域や宗派の相場を調べ、適切な金額を準備します。不確かな場合は、信頼できる寺院や知人、葬儀社に相談するのも一つの方法です。

封筒の準備:お布施用の封筒は蒼礼社が用意します。「御布施」の下に施主(葬儀や法要を主宰する人)の苗字もしくは〇〇家と記入することを忘れずに。

タイミングの確認:お布施を渡すタイミングは、葬儀や法要の種類によって異なります。一般的には、儀式の開始前や終了時に、僧侶に直接手渡しすることが多いです。

間違えやすいポイント封筒に記載する際に薄墨で書く必要はありません。一般的な濃い墨で書きます。※薄墨で書くのは遺族へ弔意を示すためであり、遺族が僧侶に弔意を示す必要はないからです。

同じ理由から、御布施の封筒に入れるお札についても新札、新札以外どちらでも構いません。ただし、あまり皺くちゃなお札は使わないほうが無難です。

スムーズな葬儀・法要のために

 

事前のコミュニケーション:可能であれば、事前に僧侶や寺院と戒名や葬儀の流れについて話し合い、必要な準備を確認しておきます。これにより、当日の流れがスムーズになります。

心の準備:お布施は、故人への感謝と僧侶への敬意の表現です。心を込めてお布施を準備し、儀式に臨むことが大切です。

遺族間の協力:葬儀や法要は、遺族にとって精神的にも肉体的にも負担が大きいものです。事前に役割分担を決めておくなど、家族や親族間で協力し合うことが重要です。

 

葬儀や法要において、お布施は避けて通れない重要な要素です。お布施の意味を理解し、適切に準備することで、故人を心から偲び、スムーズに葬儀や法要を執り行うことができるでしょう。

 

 

仏教の行事とお布施

 

仏教における行事は、故人との繋がりを感じ、仏教の教えに触れる大切な機会です。特に日本の仏教では、お葬式、四十九日、一周忌、三回忌といった行事が知られています。これらの行事におけるお布施は、僧侶への敬意と感謝の気持ちを示すとともに、故人への感謝の表れでもあります。

 

葬儀(お葬式)

お葬式は、故人との最後のお別れの場であり、生前の故人への感謝と、来世での幸福を願う儀式です。この際のお布施は、故人への供養と、僧侶による読経や法話を通じて、故人の冥福を祈るためのものです。通夜、葬儀、繰り上げ初七日法要の読経、戒名を頂くことへの謝礼を含みます。

 

四十九日法要

四十九日の法要は、故人が亡くなってから49日間の間に7日ごとの重要な節目を迎え、その最後(四十九日)に故人の魂が来世へと旅立つとされる仏教の教えに基づいています。四十九日法要のお布施は、故人の無事な来世への旅立ちを願い、故人との絆を強める意味合いがあります。法要における読経への謝礼。納骨をする場合は墓前での読経への謝礼を含みます。

 

回忌法要(一周忌・三回忌など)

一周忌や三回忌などの回忌法要は、故人が亡くなった命日をもとに行われるもので、故人を偲び、その魂が平安であることを祈るための行事です。これらの法要でのお布施は、長い時間を経ても変わらない故人への想いを示すものです。

間違えやすいポイント

一周忌だけは亡くなってからまる1年後(=2回目の命日)を意味して「一周忌」と言い、三回忌以降は〇回目の命日という数え方をします。

一周忌(2回目の命日=亡くなってから1年後)
三回忌(3回目の命日=亡くなってから2年後)
七回忌(7回目の命日=亡くなってから6年後)

 

お盆

お盆は、年に一度、故人の魂がこの世に帰ってくるとされる期間であり、家族が集まり、故人の魂を歓迎し、供養する行事です。地域によって時期は異なりますが、一般的に東京では7月13日から16日、東京以外の地域では8月13日から16日に行われることが多いです。

また、亡くなってから初めて迎えるお盆を「新盆(にいぼん)」といいます。

間違えやすいポイント:四十九日を過ぎる前にお盆を迎えた場合は、翌年が新盆となります。

 

戒名の授与とお布施

 

戒名は、亡くなった人が仏教徒として新たな名を授かるものです。故人に対する称号として授けるものであり、身分や階級の上下を示すものではありません。戒名の授与には、故人への敬意、来世での幸福を願う意味が込められています。戒名を授与する際のお布施は、この重要な儀式を行ってくれた僧侶への謝礼として、また故人への深い尊敬の表現として捧げられます。戒名の位によってお布施の額が変わることが一般的であり、菩提寺がある場合、住職と話し合う必要があります。

戒名についてのよくある誤解(いつ戒名を授かるのか)

 

戒名について、一般的には故人が亡くなった後に与えられるものだと思われがちですが、この考えには誤解があります。実際には、戒名の起源や本来の意味をしっかりと理解することが大切です。

戒名の本来の意味

戒名とは仏門に入り、仏教の戒律を誓った証に授かる名前のことです。つまり戒名は、本来は信者が生きている間に受け取るものです。
また、戒名は仏教徒としての信仰生活を送りながら、精神的な成長や実践を表す重要な称号とされています。生前に戒名を受けることは、仏教徒としての生き方を豊かにするために大切な行為でした。

キリスト教でいうところの洗礼を受けた人が授かる「クリスチャンネーム」に例える僧侶の方もいます。

死後に授かる戒名

しかし、現代では、戒名が故人が亡くなった後に与えられるものだと一般に考えられています。
本来は生前に授かるべき戒名ですが、現実には、仏教徒として供養をするため、死後に授与されることがほとんどです。故人に戒名を授けることは、仏教徒としての新しい生を始めることを意味すると同時に、遺族にとっては供養と追悼の象徴となります。

生前戒名

亡くなる前に自分の戒名について、または親族の戒名について菩提寺の住職と相談することは、非常に意味のあることです。これまで述べたとおり、むしろお葬式で頂くほうが逆なのです。
生前であれば、自分で自分の人柄や趣味などを僧侶に話し、納得して戒名を頂くことができます。また、こうした行為を通じて檀信徒は自己の信仰を見つめ直し、生き方を深める機会を得ることができます。そして、遺族は葬儀や法要の準備をよりスムーズに進め、大切な人への最後の供養を心を込めて行うことができるようになります。

生前に戒名を授かること、あるいは相談することがイレギュラーな行為ではなく、むしろ仏教の教えに沿った重要な一歩であることを理解することは、とても大切です。

 

葬儀における御布施の金額と相場

 

御布施の相場は、行事の性質、地域の慣習、寺院との関係、さらには故人に与えられた戒名の位によって大きく異なります。一般的には、お葬式や法要でのお布施は数万円から数十万円の範囲で、具体的な金額は地域や寺院、宗派によって変わります。たとえば、関東地方でお葬式におけるお布施は標準的な戒名で30万円から50万円が目安とされていますが、これはあくまで一例であり、実際にはお寺と相談したうえで決定されます。

法事・法要における御布施の金額と相場

一周忌や三回忌などの回忌法要では3~5万円程度が首都圏では多いとされていますが、お寺によって異なります。詳しくは直接お寺にご相談ください。

 

よくある質問

葬儀社に御布施の金額を菩提寺に確認してほしい

葬儀社から菩提寺へ御布施の金額について確認することは基本的に行いません。これは、お寺とお檀家様との間に直接的な関係が存在するためです。葬儀社がこの関係に介入することは一般にタブーとされます。しかし、もし住職に直接相談して「お気持ちで構いません」「特に決まりはありません」という回答を得た場合には、葬儀社から菩提寺に確認を取ることもあり得ます。ただし、その場合でも、必ずしも御布施の金額を教えてもらえるわけではないことをご了承ください。

お寺に御布施の金額を聞いても良いのでしょうか?

大変聞きづらいとは思いますが、聞かなければ分かりません。一般的には戒名の件で相談をする際(直接会って、もしくは電話)に、お寺様のほうから説明があることが多いようです。
例:「大まかに、皆さん大体〇〇円くらいですよ~」

 

御布施を渡すタイミング

 

お布施を渡すタイミングに決まりはありません。ただし、ある程度の基準は存在します。例えば、お葬式の場合、通夜の前や葬儀の当日、僧侶が到着した際に渡すことが多く、四十九日や一周忌などの法要の場合は、法要が始まる前や終了した後に、個別に僧侶に手渡すことが多いです。

 

お布施を渡す際は、封筒に「御布施」と記載されたものを使用し、「御布施」の下に施主(葬儀や法要を主宰する人)の名前を明記することが一般的です。お渡しする場合は、控室で住職に「本日は宜しくお願い致します。」と挨拶したうえで、御礼の言葉を添えて渡します。

葬儀の場合には、以下のような流れが一般的です

1.僧侶が式場に到着し式場の飾り付けや宗教用具を確認
2.控室へ移動
3.葬儀社スタッフがお茶を出す
4.葬儀社スタッフからご遺族へお声がけ
5.控室にて僧侶に挨拶→御布施を渡す

間違えやすいポイント:緊張のあまり、立ったまま僧侶に御布施を渡そうとする人もいますが、より落ち着いて控え室で渡す方が、親戚や周囲の人にとっても良い印象を与えます。

 

お布施は故人への感謝、僧侶や寺院への支援、そして仏教文化の維持に貢献する重要な行為です。また、故人を偲び、供養することは、遺族にとって故人との絆を再確認する機会でもあります。我々は仏教の行事や儀式を通じて、生と死を見つめ、人生の無常を学びます。

 

お布施は仏教の精神を体現する行為であり、物質的なものを超えた価値を持ちます。故人への想い、生きとし生けるものへの慈悲の心を育むことで、我々はより豊かな世界を築くことができます。

 

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